アンパンマン2024/04/07

ギュウギュウ詰めの満員電車に乗り、背中を押されながらも耐えて立っていました。
私のすぐ前の席には、小さな女の子を膝の上で抱いた若いパパが座っていました。
だんだん窮屈でしんどくなってきたのでしょう。
しばらくお利口に静かにしてた女の子が、少しグズグズ言い始め、パパはカバンの中からアンパンマンの絵本を出してきて小さな声で読み聞かせを始めました。

しかしそれも飽きてくると、女の子は最初はつぶやくように
「ママ・・・」
次第に声が大きくなり
「ママ・・・  ママ―」
そして
「ママー! ママがいいー。 ママーーー!」(これを言われるとパパ辛いなあ。。)
と 絶叫して、大きなお目目から涙がポロンポロンとこぼれ出したのです。
パパがお菓子を出してもお茶を飲まそうとしても、もう受け入れてくれません。

さあどうしよう。
治まる気配はありません。パパひどく困惑中。

「もうすぐ降りるよ~」 と 私もなだめようと試みましたが、ママにスイッチが入ってしまってて全然ダメ。
私の後ろに立ってた若い女性も
「お菓子あるよ~」
と 腕をねじ込むようにジャガリコを差し出してフォローしてくれましたが、ダメ。(ありがとう!)

そこで、  「あ! ほら! アンパンマンがいる!!」 
と 窓の外を指さしてみました。
すると次の瞬間、女の子はハッと顔を上げると窓の外を見てくれたのです。
泣き止んだ!

キョロキョロ、アンパンマンを捜す女の子。
居るはずのないアンパンマンを
「あれ? どこ行ったかなあ? こっちかな?」 
と 一緒に捜す私にパパも合わせてくれて、窓の外を見ながらアンパンマン捜し。

泣く子も黙る恐るべしアンパンマン。

しかし、時間稼ぎにもタイムリミットがやってきました。
居ないとわかると、また泣きそうなお顔に。
同時に私の降りる駅のアナウンスがあり、私はここで離脱したのですが、パパと女の子の降りる駅はその次の駅。

パパ、もう一息 頑張ってね! 
と 心の中でエールを送りながら電車を降りたのでした。





恐るべしアンパンマン