老母、ときどき乙女 ― 2021/02/05
92歳になる母は、
デイサービスに行く日は目覚まし時計がなくても数時間前にはひとりで目覚め、
スローモーションかと思うほどのゆっくりゆっくりとした動作で身支度をします。
そして、顔を洗い、トーストをして、ティファールでお湯を沸かし、
お気に入りのスティック紅茶を 背中を丸くしながら飲むのです。
ここまでで、1時間はかかるかな。
これが、デイサービスのない日だと、延々と朝寝。
「どうしてデイの日だと目が覚めるの?」 と聞くと
「さあ? なんでやろなあ?」
しかし、そんな立派で不思議な体内時計でも、たまに狂うことがあり、
デイの日をすっかり忘れて朝寝をしていたら、
お迎えに来た施設の方が心配して 何度もピンポンを鳴らしたり、
電話がかかってきたり。
そうかと思えば、デイの日でもないのに、
玄関でずっと座ってお迎えを待っていたり。
(想像すると可哀想になるのだけど・・・)
そんな時は、すっかり凹んでしまう母なのです。
常に緊張感を持ってくれてることで、「今」が維持できているのかな。
そんな母、先日 お友達の名前が出てこなくて、
自分の頭を両手でポンポンたたいて、「え~~っと。 え~~っと。」
かなり苦しそう。 笑
「そんなことは、私でもしょっちゅうやで」 と 言った途端、
パッと思い出せた母。
もう嬉しそうに恥ずかしそうに、両手で口元をおさえて、
「うふっ。 うふふふ♪」
92歳、 ときどき 乙女になるのです。
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